金沢の西日本JRバスが最恐すぎる件。常識外れな「北陸発四国行」「北陸発仙台行」を仕掛ける勝算

 西日本JRバスは、JR西日本の子会社で大阪と金沢を拠点に高速バス、一般路線バス、貸し切りバスなどを運行する大手バス会社です。そんな西日本JRバスは、ここ数年地盤である北陸から「常識外れ」とも揶揄されるバスを運行している事をご存知でしょうか…

 

 


高速バスが路線を伸ばす際の"鉄則"

 高速バスに限ったことではありませんが、国内の交通は需要の確保できる大都市間または大都市と地方都市を繋ぎ、多くの乗客を運ぶというのが基本です。

 

 なので、原則として東京や大阪などの大都市のバス会社が全国の地方都市へ。地方都市のバス会社は東京や大阪などの大都市へのバスをよく運行しています。また日本で1番競合が多い路線は東京=大阪間で、多く人が昼夜を問わず移動しています。

 

 また、その都市間の需要は歴史的および経済的な結びつきに比例しており、例えば徳島と大阪などの本数が多いのは経済的な結びつきが多いからです。

 

 

 ただ、北陸は上記の鉄則をガン無視した、まさしく尖った路線を運行しているのです…

 

 

 

 


北陸発四国行き、北陸発仙台行きの地方間路線

 北陸三県と四国三県(徳島、香川、高知)を結ぶ「北陸ドリーム四国号」、金沢富山と仙台を結ぶ「百万石ドリーム政宗号」の2本が今回紹介する路線です。

 

 この二つの路線は、決して主要都市ではない都市同士(仙台は高速バスの需要が薄い)を繋いでおり、歴史的な結びつきがあるわけではありません。ドリームという名がついている通り夜行便での運航で、どちらとも1日1便です。

 特に北陸ドリーム四国号は強烈で、大都市である京阪神をスルーするという暴挙。近畿圏を通るバス路線で通過扱いになっているのはすべてのバス会社を調べてもこの路線のみで、なかなかに尖っています。

 

 時間帯としては、20時に高知駅を出発、高松中央IC、徳島駅前などを通り翌朝福井駅に到着。小松、金沢を通り富山駅前まで。乗りとおすと12時間を超える長時間路線です。

 

 

 

 


他の公共交通機関と比べて定員が少ない

写真は西JバスHPより

 

 

 

 使用されるバスは大型3列シート10列で、定員は28名となっています。バス自体定員は少ないですが、その中でもこのバスタイプは珍しいわけでは無いものの少ない定員数となっています。

 

 他の公共交通機関は、どれだけ小さな飛行機でも80名程度、鉄道で2両編成特急でも100名程度となってしまいどうしても定員が多くなってしまいます。バスならば「そんな需要があるのか?」と思ってもある程度の割合で座席が埋まるのだと言います。

 

 

 

 

 


柔軟な経由地で実質的に100万人以上を拾う

 北陸と四国は、それぞれの街の人口は多くありません。大阪や東京のようにある程度の街とをつなげればある程度の人が乗る…という訳では無いのです。

 

 しかし、北陸と四国の人口を合算すればどうでしょうか。

 バスの利点は柔軟に経由地を増やし、「うろうろ」と路線を引くことで、少ない人口の街を複数経由して合算することが出来るのです。

 

 北陸だと、富山・金沢・小松・福井の各都市。

 四国だと、徳島・高松・高知の各都市。

 

 二つの地方のそれぞれの街の人口こそ、そこまで多いわけではありませんが、すべてを足し合わせれば100万人を超え、十分に2都市間の移動需要があるような路線に見えてくるのです。

 

 関東で「東京駅」「新宿」と停車するように、北陸や四国を一つの都市としてみなして運行をすることで需要を統合しようとしています。

 

 

 百万石ドリーム政宗号では、仙台が100万人を超える大都市ですので、北陸サイドに同じ事が言えます。北陸は富山と金沢に停車することで多くの人を拾っているのです。

 

 

 

 

各地方の地盤が保証されて、安定運行が可能

 長距離の高速バスを運行しようと思えば、各都市を地盤とするバス会社同士が結託するのが原則です。東京大阪路線では、例えば阪急バスと京王バスが共同で運航したり、南海バスと京成バスが共同で運航する路線が存在します。

 

 これは多くのメリットが存在するためで、例えば

・1台ずつバスを提供するだけで、毎日運行が可能

・地盤でない都市で、バスの待機場や運転手の仮眠所、清掃などの裏方業務の確保ができる

 

などです。

 

それに加えて、北陸ドリーム四国号ではなんと、運転手の地方出張すら廃止できてしまっています。

 

 というのも、西日本JRバスの本拠地は金沢だけではありません。大阪も本拠地です。

ということは、富山を出発したバスについては、大阪で(実際は京都府内で)運転手の交換を行う事に成功しており、また運行しているJRバスは元国鉄バスからの長くてしっかりした地盤がありますので、運転手などの工夫もできてしまうのです。

 

 

 

 


ライバルがいないから、直行の存在感はただのバスより大きい。

 北陸ドリーム四国号や百万石ドリーム政宗号はライバルがいません。当たり前ですね。このバス路線が無い世界で、高知から金沢に出ようと思えば、

鉄道 高知⇒岡山⇒新大阪⇒金沢
飛行機 高知⇒東京⇒小松 
バスと鉄道 高知⇒大阪⇒金沢

まあ上記3つのどれかになるでしょう。一番合理的なのはバスと鉄道の複合ルートだろうと思います。

 

仙台から金沢に行こうと思えば

鉄道 仙台⇒大宮⇒金沢

上記1択になります。飛行機路線はありません。

 

 

ここで直通路線があるよ!となればどうなるでしょうか?

その存在感たるや、とても大きなものがあるのです。

 

また、ライバルがいないということは激しい値下げ競争にさらされることはなく、ある程度高速バスとして見合った運賃にしておけばよいわけで、これも採算を取る事ができる理由のひとつなのかもしれません。

 

 

 

 


まとめ

 今回、地方都市間を結ぶ北陸ドリーム四国号や百万石ドリーム政宗号が成功している理由としては、

 

  • 定員が少なく快適な3列シートバスを使用している
  • 経由都市を増やして拾い上げる総人口を100万人にしている
  • JRバスの広く強い地盤を最大限使用している
  • ライバルが少なく直通便としての存在感がある
  • ライバルが少なく過激な値段競争にさらされない

 

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